-安藤 忠雄-
フランス建築アカデミー大賞、日本建築学会賞、日本文化デザイン賞 アルヴァ・アアルト賞・毎日芸術賞など受賞多数。国内は勿論、海外でも 海外でも高い評価を受けている建築界の鬼才。
“教会”とは元々“祈りの空間”という意味があり、一歩足を踏み入れたとき、無意識のうちに静かで厳かな気持ちになれるような場所であることが大切とされています。
安藤忠雄氏は、水の教会の設計について「聖なる空間とはすなわち超越的なものに違いないが、私にとっては、それが何か〈自然〉と関わるべきものであるように 思われた」と語っています。
自分よりも大きな自然と向き合い、緑や水や光や風を感じるとき、人は意識せずに静かで穏やかな気持ちになることができます。それはまた、“祈り”に最も近い心境でもあるのです。
水の教会の建築コンセプトである「自然との共生」は、教会の元々の意味と核心の部分で通じ合い、最も「教会の原点」に近い場所であることを感じさせてくれます。
一般的な教会のイメージでは、正面に祭壇があり、ステンドグラスやパイプオルガンや聖歌隊がありますが、 水の教会は全く違った考え方からできています。
水の教会に入ったとき、正面に見えるのは壁一面の大きなガラス窓。高さ5m×横幅15mの大きなガラス窓の向こうに見えるのは、 奥行き90mに及ぶ美しい水辺と、周りを囲む白樺の森、そして広い空です。
そして、挙式を行う2人がこのガラス窓の前に立ったとき、この大きなガラス窓全体が、静かに動き出し、やがて完全に開くと、 外に広がる自然と直に接することができます。
眼前に広がる圧倒的な自然の中から聞こえてくるのは、鳥の声、木々の葉ずれ、そしてゆっくりと流れる水の音。
その時、鳥の声は讃美歌の代わりとなり、木々の葉ずれや静かに流れる水の音はパイプオルガンの代わりとなり、刻々と表情を変える広い空はステンドグラスの代わりとなって、ここに立つ2人を祝福してくれます。
水の教会は、その建築と周囲の自然が一体となることで初めて「教会」として成立する、稀有で荘厳な空間として存在しています。